性能の高いAIを使っているのに、返ってくるのは無難な一般論ばかり——身に覚えはないでしょうか。多くの場合、原因はAIの実力ではなく使い方です。1つのAIに「調べる」と「考える」を丸ごと背負わせているのです。この記事では、正確に集めるのが得意なNotebookLMと、深く練るのが得意な生成AIを分担させ、コピペでつなぐやり方を、手順つきで整理します。
💡 この記事の要点(30秒で)
① 基本の型 = NotebookLMで「集め」、生成AIで「練る」。係を分けるだけ
② NotebookLMの持ち味 = 渡した資料だけから答え、出典が付く。事実を正確に並べる
③ 生成AIの持ち味 = 事実から戦略を導き、分析し、コードを書く。ただし材料が要る
④ 効かせる一手 = NotebookLMには「まとめず、抜けなく出して」と頼む
⑤ 本記事のゴール = 競合調べ・相談・作業自動化を、事実に立って一段深くできる
🏢 CRIEN視点 ── CRIENは自社の業務を複数のAIエージェントで回しています。そこでも「集める工程」と「練る・作る工程」を分けて組むほど、精度と再現性が上がる。1つのAIに全部背負わせない原則は、個人でも組織の自動化でも変わりません。
1つのAIに全部背負わせると、なぜ薄い答えになるのか
取材にたとえると腑に落ちます。片方は、裏取りをして事実を集めてくる「取材係」。もう片方は、集まった素材から筋を通して記事に仕上げる「編集係」。取材係に一気に完成原稿まで書かせても、編集係に裏取りから丸投げしても、うまくいきません。
AIで成果が出ないときの多くは、編集係(練る生成AI)に取材(調べること)まで丸投げしている状態です。生成AIは練るのは得意でも、あなたの会社の内情も、手元に集めた資料も、はじめは知りません。何も渡さなければ、ネット上の一般論やもっともらしい当て推量で埋めてしまう。だから、係を分けるところから始めます。
基本の型:NotebookLMで「集め」、生成AIで「練る」

役割を並べると、こう整理できます。
| 係 | 得意なAI | できること | 苦手なこと |
|---|---|---|---|
| 集める | NotebookLM | 渡した資料だけから答え、出典を付ける。複数の資料を横断して事実を正確に並べる | 資料の外にある発想や、込み入った戦略づくり |
| 練る・作る | 生成AI(ChatGPT・Claude・Gemini など) | 事実から筋を通し、多角的に分析し、コードを書く | 材料を渡さないと一般論や当て推量で埋める |
NotebookLMは、入れた資料の外へは踏み出さず、答えに引用元が付きます。だから根拠のない話が紛れ込みにくい。「正確に集める」ことでは、汎用の生成AIより頼りになります。生成AIのほうは、散らばった事実から筋を立てたり、長いコードを書き切ったりする力が強い。この2つを、間を「コピペ」でつなぐだけで、正確さと考える力を同時に手にできます。
生成AIには、一度にかなり大きな文脈(モデルによっては数十万〜100万トークン規模)を扱えるものもあります。NotebookLMが出した大量の事実を、遠慮なく全部貼っても筋を保ったまま処理できる。渡す量が、そのまま答えの切れ味になります。指示の出し方は 生成AIの活用方法 完全ガイド も参考になります。
肝は「まとめさせない」
NotebookLMに事実を出させると、放っておけば勝手に要約します。人が読むには良くても、生成AIへ渡す材料としては痩せてしまう。だから、こう頼みます。
この後、別のAIで深掘りします。要点にまとめず、数字・具体例・引用元をそのまま、抜けなく書き出してください。
この一言で中身が濃くなります。出し切れなければ「数字だけ」「事例だけ」と分けて出させ、まとめて渡せば十分です。
使い方①:競合調べを、ただの整理で終わらせない
効果を実感しやすいのが競合調べです。各社のサイトやニュース、公開資料をNotebookLMに入れ、こう頼みます。
A社・B社・C社の料金・強み・狙う客層・直近の動きを、出典が示せるものだけで、まとめずに事実のまま並べてください。
出典つきの正確な比較が出そろいます。ここまでが「集める」段。次に、この出力をまるごと生成AIへ貼り、踏み込ませます。
上の3社の事実をもとに、①各社の狙いを読み、②1年後を3通りのシナリオで描き、③まだ空いている市場の隙間を挙げ、④自社の一手を根拠・段取り・リスク付きで3案ください。
これは棚卸しではなく、次の一手を練る作業です。あくまで目安ですが、丸一日かけていた競合分析が、数時間で「提案書の一歩手前」まで届く感覚です。
使い方②:事実に立った、遠慮のない相談相手
AIに相談すると、たいてい持ち上げてくれます。心地よい反面、切れた助言は得にくい。NotebookLM×生成AIなら、事実に根ざした厳しい相談相手になります。
まず判断材料(自社の数字、過去の企画の結果、下敷きにしている本やフレーム)をNotebookLMに入れ、現状を正確に並べさせる。その「正確な現状」を生成AIへ渡して相談します。
下は私の状況を事実で整理したものです。新サービスを始めるべきか迷っています。賛成・反対の両面を根拠付きで、耳の痛い指摘も遠慮なくください。
土台が「あなたの正確な事実」なので、机上論で終わりません。「1年後に失敗していたら原因は何か」と、先の失敗から逆算させるのも効きます。
使い方③:手間仕事を、コードで肩代わりさせる
「コードは書けない」という方も大丈夫。書くのは生成AIで、あなたの役目はやりたいことを正確に伝えるだけ。その"正しく伝える"を裏で支えるのがNotebookLMです。
たとえば毎週のレポート集計やメール送信。Googleの表計算やメールは「GAS(Google Apps Script)」で自動化できます。まず手順をNotebookLMに整理させ、生成AIへ渡します。
この要件でGoogle Apps Scriptを書いてください。①未経験者が貼るだけで動く、②各所に日本語コメント、③設定手順とつまずいた時の確認先も添える。
AIにコードを頼んで外す原因は、たいてい要件のあいまいさです。NotebookLMで手順を抜けなく固めてから渡すと、自社の仕事に合う中身になります。小さな自動化の積み重ねが効率化の土台です(広げ方は AIワークフロー自動化6選|月間40時間削減 )。
注意:貼り付けた瞬間、情報は"外"に出る
一点だけ気をつけてください。生成AIへ貼った時点で、情報はNotebookLMという閉じた箱の外へ出ます。手順書に取引先名や社外秘が混じるなら、固有名を仮名に差し替えてから渡すこと。自社のAI利用ルールの確認も忘れずに。便利さと安全は、いつも一組で考えるものです。情報漏れの基本は AI導入セキュリティ20項目チェックリスト にまとめています。
まとめ:まず試す3手
覚えるのは、たった1つの型だけです。NotebookLMで「集め」、生成AIで「練る」。今日はこの3手で十分です。
1. 一番扱いたいテーマの資料を、NotebookLMに1つ入れる
2. 「まとめず、抜けなく」と頼み、事実を出させる
3. その出力を生成AIへ貼り、「これをもとに深掘りして」と一度頼む
集める工程と練る工程を分ける発想は、個人の作業だけでなく、組織の業務自動化にもそのまま効きます。自社の仕事へどう組み込むか相談したい方は、 AIなんでも相談 へ。まず何から自動化できるか、CRIENが一緒にほどきます。
FAQ(よくある質問)
NotebookLMと生成AIは、何が違うのですか?
NotebookLMは、渡した資料だけから答え、引用元を付ける「集める」AIです。事実を正確に並べる一方、資料の外の発想や込み入った戦略は苦手。生成AIは、事実から筋を通し分析しコードを書く「練る・作る」AIで、材料を渡せば深く考えますが、渡さないと一般論で埋めます。
なぜ「まとめず、抜けなく」と頼むのですか?
NotebookLMは放っておくと要約しますが、要約は情報が削れ、次のAIへ渡す材料としては痩せます。「まとめず、数字・具体例・引用元を残して」と頼むと出力が濃くなり、分析が鋭くなります。渡す量が、そのまま答えの切れ味になります。
プログラミングができなくても、作業の自動化はできますか?
できます。コードを書くのは生成AIです。あなたの仕事は、やりたいことを正確に伝えるだけ。NotebookLMで手順(条件分岐や例外も含めて)を抜けなく整理し、それを生成AIへ渡してGoogle Apps Scriptなどのコードを書いてもらいます。要件をあいまいにしないことが分かれ目です。
機密情報を扱うときの注意点は?
生成AIへ貼った時点で、情報はNotebookLMの外へ出ます。取引先名や社外秘が混じるなら、固有名を仮名に差し替えてから渡すこと。あわせて自社のAI利用ルールも確認を。便利さと安全はセットで考える必要があります。
この分け方は、組織の業務にも応用できますか?
できます。「集める工程」と「練る・作る工程」を分ける原則は、個人の作業でもAIエージェントによる組織の自動化でも共通します。まず一部の業務で試し、効果を見て広げるのが現実的です。
出典・参考
• 生成AIの活用方法 完全ガイド|業務で使う基本と手順
• AIワークフロー自動化6選|月間40時間削減の導入事例
• AI導入セキュリティ20項目チェックリスト実践ガイド
• オウンドメディアAI自動化事例|10エージェント分業設計
• NotebookLM(Google)公式:https://notebooklm.google.com/
• Google Apps Script 公式ドキュメント:https://developers.google.com/apps-script